ICHIKEN 株式会社市原建設

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それが耐震リノベーションという新たな住まいの選択です

解体寸前の空き家を耐震リノベーションした
私のリアルストーリー

このお話は実子の高校通学の為、学校近くに中古住宅の購入を検討した私、市原のリアルストーリーです。子供達の在学期間だけという事を考えれば賃貸アパートという選択肢もありましたが、この機会に、お客様の立場に立って住宅ローンを組んでみようと思い中古住宅を購入し、改修しようと構想を持ちました。ハッキリ言って成功体験ではありません。
事実、工事期間中何度、解体しようかという衝動に駆られながら期間延長と予算超過を耐え忍び、見た目は新築と見間違えるレベルに改修したお話です。私がした経験をお客様にしてほしくないという強い思いから掲載させていただきます。

購入検討
現地調査(簡易的な耐震診断含む)

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瓦は劣化が進み(※写真1)軒先裏は腐食により垂れ下がり(※写真2)外壁も鉄板のサビが浮いていた。室内に入り、小屋裏を見ると雨漏り跡があるも思った程の腐食は無し。(※写真3)
軒先に腐食が集中している模様。壁が持っている保有耐力と屋根を軽量化する事により耐震改修は可能と判断。
唯一気がかりなのは床下に潜れなかったためシロアリ被害が確認出来なかったという事。
現状、元々和室だった部屋も含めて一階床は全面木質フロアー張りがなされていた。(※写真4)
契約時、売主に確認を取り、シロアリ被害が無いという事を聞き信用して購入を決意した。

トイレ工事

工事着手にあたり、先ずはトイレからという事で汲み取り式だったトイレを解体、水洗トイレにするための改修工事に入りました。着手日当日、現場から『トイレの化粧柱を外すと大規模なシロアリ食害があり床のタイルも撤去するとトイレ部分の土台はシロアリに食われている』と報告があり。すぐさま現地確認。柱は床の高さから2m程の高さまで食害跡を確認。被害を受けた木材表面にボンドが塗られ綺麗な化粧柱が張られていた。(※写真5)
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またトイレ床タイルを撤去すると床下部分の構造材はほぼ朽ちている状態だった。(※写真6)
不安に思い階段部分の床を開口し床下に潜ると広範囲でシロアリの蟻道が発見された。白い筋が蟻道。(※写真7)

耐震改修とシロアリ修繕工事

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現状施工されていた木質フロアーを撤去すると床の下地材はシロアリの食害を受け、ほぼ全滅であった。(※写真8-1)大引きの断面。芯の部分が食害を受け空洞になっている。(※写真8-2) 壁板も撤去し確認すると柱は計14本がシロアリ被害を受け土台は北面・西面もほぼ全滅であった。(※写真9)
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腐食した柱・土台等の部材は継ぎ足し又は交換する必要があった。この時点でかなり心を折られた私。
周囲にも建物ごと解体するように助言されたが、今後の教訓にしようと思い直し、修繕を決意した。
柱等をジャッキアップする前に、先ずは屋根を軽くするべくセメント瓦を撤去。(※写真10)
重量がセメント瓦の1/10以下のガルバリウム鋼板に葺き替えた。(※写真11)
次に床材・天井材を全て撤去しスケルトン状態に。(※写真12)
防虫処理を行ったあと防湿シートを施工し土間コンクリートを打設した。(※写真13)
土間コンクリートが固くなったのを確認して順番にジャッキアップを行った。土台・柱の部材を防腐処理した木材に交換。(※写真14)
土台・柱等の骨組み改修が終わったので耐力壁の強化(本来の耐震改修工事)に着手した。構造用合板などで補強。(※写真15)

内・外装リフォーム

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部屋の内装部分は全て改修した事になり新築同然に。(※写真16) 外壁部分も1階桁周りに蟻道を発見したので防腐処理を行った。(※写真17)断熱材も入れ替え、外壁も全て交換した(モルタル部はやり替え)。窓周りも補修した事でサッシ類も全て交換した。(※写真18)
内装建具も交換した。(※写真19)キッチンやユニットバスも全て新品に。(※写真20、21)

エクステリア関係

道路と境界部分に設置していた塀ブロックは撤去し新たにコンクリートを打ち直し遮熱性能を持ったカーポートを設置した。(※写真22)
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インタビュー

株式会社市原建設 代表取締役社長 市原 卓

初めて購入した中古住宅で、
シロアリ被害を発見した時の心境は?

頭の中が真っ白になりました。ただ、怒りよりもまず「お客様の家ではなく、自分の家でよかった」という気持ちが大きかったです。これまで見たどの家よりも、その被害は深刻でした。

どのタイミングでシロアリ被害に
気がついたんですか?

購入から4ヶ月後のことです。もともと、耐震改修をする予定で冬に中古物件を購入しました。そして4ヶ月後に工事に取りかかろうとトイレの柱の表面に張られた化粧板を外した時、2メートルもの大きなシロアリ被害を発見しました。そこから、他の部屋の床下もすべて確認しました。すると、土台や柱など構造に関わる部分まで、シロアリ被害でほとんどの部分が全滅でした。

物件を購入する時、シロアリ被害のことは
知らされなかったんですか?

仮契約の時、売主に「もしシロアリ被害があれば、購入することはできない」と伝えました。その時に「シロアリ被害はない」とハッキリと言われたんです。その言葉を信じて、本契約をしました。
現在ではトラブル防止のため、宅建業法で劣化状況や水漏れ、設備関係の動作など「住宅診断(インスペクション)」を行った物件に対して、明確な説明が義務づけられています。しかし当時はそれが無かったんです。私はこの経験でインスペクターの資格を取得し、今まで関連会社で取り扱っていた不動産業務を当社でも取り扱えるようにしました。今後中古住宅を検討されているお客様からのお問い合わせには、契約をする前に依頼主と一緒に住宅診断を行っていこうと考えています。ご縁があって仕事をいただいたお客様には、自分と同じ思いは絶対にして欲しくないですから。

購入した中古物件を「建て替える」という選択は
なかったんですか?

シロアリ被害があまりにも酷く、周囲からも建て替えを勧められました。私自身も、あまりの状態の悪さに何度も家を解体したい衝動にかられました。最終的に柱14本や土台の取り替えなど、大がかりな工事になりました。本来なら建て替えレベルの中古住宅でしたが、これから建設業の仕事をしていく上で、この実体験が必ず生きてくると考えました。

築40年の中古住宅とは思えない、素敵な家に仕上がっていますね。
ちなみに新築ではなく、あえて中古住宅を購入したのはなぜですか?

中古物件はまず購入時の価格が新築に比べて格段に安いのと、立地条件が良い場合が多いため生活をイメージしやすいメリットがあります。実際に自分で物件を購入して「耐震リノベーション」に取り組もうと考え、新築ではなく、あえて中古住宅を選びました。

「耐震リノーベーション」と「リフォーム」の違いは
何ですか?

リフォームとは

まず「リフォーム」は一般的に老朽化した建物を新築の状態に戻すことを言います。マンションやアパートの場合には入居者退去後に、その居住者が住む前の状態に戻すことを指す場合があり、現状回復とも言われています。

リノベーションとは

「リノベーション」とは、既存の建物に大規模な工事を行うことで、性能を新築の状態よりも向上させたり、価値を高めたりすることを言います。「耐震リノベーション」の場合は、建物を現行基準の耐震性能に引き上げるので当然、新築時以上の安心を得ることができます。

なるほど。耐震リノベーションをすることを前提に、築40年の中古物件を
購入したんですね。

私の場合は、まず立地条件がベストでした。築年数のある中古物件なので、改修費がある程度かかる事は初めから覚悟していました。けれど、全面がフロア張りされていて、床下や構造の部分を売主の言葉を信じて自分の目で確認できないまま購入してしまったことにより、当初の想定以上の多額の費用を要しました。それでも、解体して新築を建てるよりは3割程度低コストで収まりました。
また、耐震改修助成金を活用して耐震化を行ったことにより、改修費用の面などデメリット部分をほぼ払拭することができました。

「耐震」の部分に力を入れているのは、
なぜですか?

昨今、水回りを中心に全面リフォームをした中古物件を販売しているのをよく見かけます。けれど本当に大事なのは見た目の美しさだけでなく、目に見えない部分の劣化と耐震性だと考えています。
「耐震診断」を行うと、その家の劣化状況も把握できるので、できれば中古住宅購入の検討段階で耐震診断をするのが望ましいですね。

最近、個人宅から「耐震診断」の依頼が特に増えているそうですね。
これまで診断した住宅で基準を満たしていない家はどのくらいありましたか?

「耐震診断」をした住宅では、実際に基準を満たしていない場合がほとんどです。現在の「耐震基準」は昭和56年に定められた壁量、平成12年に追加された壁の配置バランス、接合部の仕様を診断します。阪神淡路大震災以降、壁の量とバランス、土台や柱、梁の接合部の構造計算をして壁の強度に見合った接合部を補強することが大事になりました。
それらの項目を全て確認した上で「耐震基準」に当てはめていきます。まず1.0以上の「建物が倒壊せずに人命が守られること」を基準に測定します。
しかし、特に依頼の多い昭和の時代に建てられた物件のほとんどは0.5以下で倒壊の危険性が高いのが現状です。

耐震診断データ

耐震診断結果

昭和56年より以前に建てられた建物は、
特に耐震診断が必要なんですね。

私は「耐震工事」は「大切な家族の命を守るための工事」だと考えています。今は「耐震診断」は、条件によって市などの補助金を受けることが可能です。
「耐震リノベーション」は大がかりなものから、弱い部分を補強する部分的なものまで状態に応じて様々です。暮らしながら工事をすることも可能なので、まずは建物の状態を知ることが大事なんです。今住んでいる家はもちろん、中古住宅の購入を検討する時にも「耐震」はとても大切なキーワードです。

まずは「耐震診断」で家の現状を知ることが
重要ということですね。

私たちは耐震診断をして、依頼主の不安を煽って耐震工事の契約を急ぐ様なことは決してしません。
まず耐震診断でそれぞれの診断結果を数値化し、図面を作って家の揺れ方をシュミレーションします。
耐震診断をきちんとするからこそ、弱い部分の補強など理論的な解決方法を見い出します。資料を作成し、行政に申請をして認可が下りるのを待ってから次の段階に話しを進めていきます。耐震改修をすると所得税や固定資産税が減税されるなどのメリットもあります。
そう言った少し難しい手続きもアフターケアとして行っているので安心してください。

今後の展望をお願いします

香川県の空き家問題は深刻化していて、解体にも費用がかかるためにそのまま放置されているのが現状です。中古住宅は立地条件が良い場合が多いので生活をイメージしやすいメリットがあります。そして何より購入時の価格が安く、改修工事をしても新築よりもコストを抑えることが可能です。
また、一方で住宅を購入する人がデザインや立地よりも大事に考えているのが「建物の性能」というデータがあります。その性能の中でも特に重要視されてきているのが「耐震性・耐久性」の部分です。耐震診断の基準は耐震等級1.0以上で「人命が守られること」。しかし、それは昭和56年、平成12年に作られた基準であり、木造住宅の現在の最高レベルは「耐震等級3」です。これは熊本地震で震度6強から震度7の2度の地震にも倒壊せずに耐え、香川県内の新築のご依頼の中でも注目が高まっています。私たちはお客様のニーズに合わせて中古物件の「耐震リノベーション」と、新築の場合はこの最高レベルの「耐震等級3」の住宅を推奨していきたいと考えています。
  • 全国の空き家率

    全国の空き家率
  • これからの住宅に求められる性能

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